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「腸活」で肌も若返る?
2025/03/28

「肌は腸の鏡」という言葉をご存じでしょうか?
脳と腸は神経伝達物質を通じてつながっています。
そのため、互いの状態が影響し合いストレスを感じたり、不安があると腸の動きも悪くなってしまいます。
また、腸内環境が良くなっていくと、たくさんのメリットがあります。
「腸活」は、若々しい美肌への鍵となります。今回はそんな“腸”にスポットを当ててみました!

まずは、腸のチェック
あなたの腸、疲れていませんか?
食生活の乱れやストレスは、腸の疲れにつながります。下のような症状がある人は腸が疲れている可能性があります。
□最近、なんだか疲れやすい
□風邪をよく引く
□肌が荒れている
□ストレスがたまっていると思う
□食事が偏りがちで、野菜をあまり食べていない
□運動不足だ
□便秘・下痢気味
□抗生物質をよく飲んでいる
□お菓子をよく食べる
□小麦・乳製品をよく食べる

腸内環境が悪いと肌トラブルの原因に
腸内環境を決定づけているのが、腸内に存在する細菌です。
私たちの腸内には約500〜1,000種類、約100~1,000兆個もの細菌が存在していて、それらが肌の状態や体調に影響しています。
腸内細菌には善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3種類があります。
- 善玉菌…消化吸収を助け、腸の働きを整え、病気に対する抵抗力を高めるなどの働きがある。
- 悪玉菌…有害物質をつくりだし、腸内の腐敗を進め、体に悪い影響を及ぼすなどの働きがある。
- 日和見菌…健康な時は無害だが、悪玉菌か善玉菌のどちらか優勢なほうに加担して働く性質があります。
健康な腸は、多種多様な細菌が共存しており、善玉菌が悪玉菌よりも多いです。
しかし、食生活・運動・睡眠などの乱れが原因で悪玉菌のほうが優勢になってしまうと、腸内環境が悪化し、便を排出するための腸の活動も鈍くなり、便秘になりやすくなります。
腸内細菌のバランスが崩れ、便秘になると腸内に腐敗物質が多く産生され、腸で吸収され血管を経由して、体全身をめぐることで、肌に到達し、肌トラブルに直結しやすくなります*1*2。
便秘症状が続くと皮膚症状の悪化に繋がり、あさりやしじみ、かきなどの貝類に含まれる栄養成分や、アロエ入りのヨーグルトなどを食べ腸内環境を整えることで、皮膚の状態が改善も期待できます。*3*4*5。
つまり、腸内環境を整え、便通を良くすることが肌質改善につながっていくのです。

腸内環境をよくするためには
①悪玉菌の元となる食品成分の摂取を控える*7*8*9*10
ヨーグルトのように善玉菌を増やす食べ物がある一方で、悪玉菌を増やす食べ物があります。
以下は、過剰摂取すると腸内環境を悪化させる可能性が高い食品成分です。
- マーガリンやショートニングなどの「トランス脂肪酸」
- 動物性脂肪
- 「カロリーゼロ」「糖質ゼロ」の飲み物や食べ物などに含まれる「人工甘味料」
- 保存料や着色料などの「食品添加物」
- パンやパスタなどの小麦由来食品に含まれる「グルテン」
いくら良いものを食べていても、良い行動をしていても、上記の食品成分を多く摂ってしまうと腸内環境はなかなか改善されません。
整腸効果を高めるためにも、悪玉菌を増やす食品成分の摂取はなるべく控えましょう。
また、睡眠不足や運動不足によっても腸内環境が悪化することも知られています。*11
そして、腸内環境が悪くなると睡眠の質が悪化することもわかっています。*12
これはどっちが先なのかはよくわかりませんよね…

②腸内環境をよくするには食生活・運動・睡眠!
腸内年齢を若々しく保つには?
・水溶性食物繊維やオリゴ糖など分解・吸収をし難く、腸内細菌のエサとなってくれる食品をとる
・納豆や味噌、ヨーグルトなどの直接腸内細菌として作用する生きた微生物を含む製品または食品をとる
・和食や地中海食(野菜や果物、魚介類、オリーブオイルなどを多く使った料理
・運動(週3回1回30分から60分の有酸素運動を、中から高強度で6週間)*13
特にヨーグルトを食べるときは、善玉菌である乳酸菌のエサとなる水溶性食物繊維(イヌリン)やオリゴ糖を豊富に含む食べ物と一緒に食べると、さらに善玉菌を増やす効果が期待できます。*6
ヨーグルトと相性がいい食べ物としておすすめなのが果物です。
特に、りんごやオレンジにはペクチンと呼ばれる水溶性の食物繊維が多く入っています。また、バナナにはオリゴ糖が多く含まれています。
また、ナタデココや寒天も食物繊維を豊富に含むためヨーグルトと相性がいいです。

まとめ
腸内環境を整えるためには、半年から1年と長期的な視点が必要です。
もちろん、毎日上述した生活にする必要はありませんが、現在の生活習慣を見直す必要はあります。
加齢とともに、腸内環境は、不安定になる傾向があります。
腸内環境を整えるには、食事・運動・睡眠のバランスがなにより大切です。
日々続けていく姿勢が、明日の自分を元気にしてくれるのです。
(参考文献)
*1 Iizuka R, Kawakami K, Izawa N, Chiba K. (2009) Phenols produced by gut bacteria affect the skin in hairless mice. Microb Ecol Health Dis 21: 50-56.
*2 Iizuka R, Kawakami K, Chiba K. (2009) Gut bacteria producing phenols disturb keratinocyte differentiation in human skin. Microb Ecol Health Dis 21: 221-227.
*3 山本有紀,近藤しずき,清水金忠,岩附慧二,岸岡亜紀子 他. (2007)アロエヨーグルト摂取が成人女性の皮膚および排便性状へ及ぼす影響.Asthetic Dermatology 17:279-288.
*4 伊澤佳久平,野間晃幸,山本昌志,木村勝紀,伊藤裕之 他. (2008)LB81 乳酸菌を使用したヨーグルトの皮膚機能改善効果に関する検証.腸内細菌学雑誌 22:1-5.
*5 Kano M, Masuoka N, Kaga C, Sugimoto S, Iizuka R, et al. (2013) Consecutive intake of fermented milk containing Bifidobacterium breve strain Yakult and galacto- oligosaccharides benefits skin condition in healty adult women. Biosci Microbiota Food Health 32: 33-39.
*6 De Vadder F, Kovatcheva-Datchary P, Zitoun C, et al. Microbiota- produced succinate improves glucose homeostasis via intestinal gluconeogenesis. Cell Metab. 2016 ; 24 : 151-7.
*7 Caesar R, Tremaroli V, Kovatcheva- Datchary P, et al. Crosstalk between gut microbiota and dietary lipids aggravates WAT inflammation through TLR signaling. Cell Metab. 2015 ; 22 : 658-68.
*8 Jia W, Xie G, Jia W. Bile acid- microbiota crosstalk in gastrointestinal inflammation and carcinogenesis. Nat Rev Gastroenterol Hepatol. 2018 ; 15 : 111-28.
*9 Krautkramer KA, Kreznar JH, Romano KA, et al. Diet-microbiota interactions mediate global epigenetic programming in multiple host tissues. Molecular Cell. 2016 ; 64 : 982-92
*10 Kelly JR, Kennedy PJ, Cryan JF, et al. Breaking down the barriers: the gut microbiome, intestinal permeability and stress-related psychiatric disorders. Front Cell Neurosci. 2015 ; 9 : 392.
*11Shimizu Y, Yamamura R, Yokoi Y, Ayabe T, Ukawa S, Nakamura K, Okada E, Imae A, Nakagawa T, Tamakoshi A, Nakamura K. Shorter sleep time relates to lower human defensin 5 secretion and compositional disturbance of the intestinal microbiota accompanied by decreased short-chain fatty acid production. Gut Microbes. 2023 Jan-Dec;15(1):2190306. doi: 10.1080/19490976.2023.2190306. PMID: 36945116; PMCID: PMC10038026.
*12Ogawa Y, Miyoshi C, Obana N, Yajima K, Hotta-Hirashima N, Ikkyu A, Kanno S, Soga T, Fukuda S, Yanagisawa M. Gut microbiota depletion by chronic antibiotic treatment alters the sleep/wake architecture and sleep EEG power spectra in mice. Sci Rep. 2020 Nov 11;10(1):19554. doi: 10.1038/s41598-020-76562-9. PMID: 33177599; PMCID: PMC7659342.
*13Allen JM, Mailing LJ, Niemiro GM, Moore R, Cook MD, White BA, Holscher HD, Woods JA. Exercise Alters Gut Microbiota Composition and Function in Lean and Obese Humans. Med Sci Sports Exerc. 2018 Apr;50(4):747-757. doi: 10.1249/MSS.0000000000001495. PMID: 29166320.